放射線の医療被曝と健康に及ぼす影響

放射線の医療被曝

いまや放射線と医療は密接に結びついています。

何かあるとすぐCTやレントゲンを撮ってみようとか、詳しい検査をしてみようという流れになってくるのが普通です。

学校の健康診断や職場の定期健診でも、何の疑問も抱かずに普通に行われています。

放射線は医療における早期発見に、大きな貢献をしていると言えるのかもしれません。

しかし日本ではまだまだ遅れていますが、世界的には以前からこの放射線の被曝が問題になってきています。

放射線が生物に何も害を及ぼさなければ、医療用に大活躍する優れものとなるのですが、放射線に発ガンリスクがあるということや、少ない線量でも生物に傷害を与えるメカニズムも明らかになってきました。

また低い線量でもその線量に応じた傷害を与えることや、低い線量でも蓄積するということが分かってきました。

しかし日本では放射線のリスクよりも、早期発見の恩恵の方が大きいということがまかり通っていて、他国よりも無駄な検査が多く行われているのが現状です。

このような事情から、放射線の被曝の問題について詳しくみていきたいと思います。

福島の放射能汚染を心配する前に、医療被爆をしっかりと考えなければなりません。

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放射線とは

放射線とは
アルファ線、ベーター線、ガンマー線、エックス線などがありますが、医療には人体を通り抜けやすいということで主にエックス線が使われ、特別な場合はガンマー線も使われています。被爆線量の単位はミリシーべルト(mSv)を使います。

その危険性、恐ろしさは日本人なら長崎・広島に落とされた原爆の話や、福島原発事故による放射能漏れ事件などで皆さんよくご存知だと思います。

ここで問題になっているのはそこまで多い被爆量ではなく、検査などに使われている微量な被爆量がどの程度健康に影響を与えるのかということです。

放射線には医療用などの人工的に作られる放射線と、放射性物質から放射されたり宇宙や太陽から放射される自然放射線があります。

この自然放射線を浴びているのだから、低線量の被爆を恐れるのはナンセンスという人もいますが、だからこそ人工の放射線だけでも浴びないように、努力をするべきだということの方が筋が通っていそうです。

 

放射線の医療被曝大国である日本の現状

医療被曝の日本の現状
日本は世界でも類を見ない医療被爆大国になっています。医療先進国といわれる15カ国の中で、放射線の影響に関する国連科学委員会の2000年の報告では、単位人口の年間エックス線検査件数では、日本がダントツの世界一になっています。

日本のCT台数は年々増え続け、人口当たりでは他国の約3.7倍、その結果エックス線による発ガン数の割合は、少ないイギリスなどの約7倍にもなっているのです。

日本では学校教育の「総合的学習の時間」や「エネルギー教育」の授業では、日本原子力文化振興財団やNPO法人放射線教育フォーラム、エネルギー教育環境センター、その他自治体や電力会社などが重要な役割を担っています。

教科書に放射線や原子力エネルギーが、どのように記述されているかを常にチェックし、放射線に危険性があるとか、チェルノブイリ事故のような原子力エネルギーの受容に影響を及ぼしそうな記述に対しては、文部科学省に要望書を提出しているのです。

また膨大な予算を使い
「低線量の放射線は身体に害を及ぼさない」
「ガンなどの原因になるという証拠はない」

というような広告活動を行っています。

エネルギーの観点から、「国民に少しの放射線を怖がらせないことを目標に」という洗脳教育が脈々と続いているのです。

よくよく考えると大変恐ろしいことです。

このようなことが功を奏して日本では、医療の放射線を怖がる人はほとんどいません。

文部科学省や経済産業省の教育の賜物といえるでしょう。

全ての国民は学校時代からこのように洗脳されて育ってきていますから、医療被曝のリスクがあるという認識はほとんど持っていません。

このような事情から、
「何かあったら困りますから詳しく検査してみましょう」

と言われれば何の疑問も抱かず、いいお医者さんだと思って、喜んで受けるようになってしまっているのです。

そのように医者・患者の双方が詳しく調べたがっていることが、さらに医療被曝リスクを高めることにもなっているのです。
胸部エックス線検査
症状もないのに受けるのは全くの無意味でナンセンスといわれながら、学校や職場で未だに続いている結核を見つけるための胸部エックス線。

アメリカなどでは結核を見つけるためのエックス線検査は、検討にも値しないそうですが・・・

日本はどうなっているのでしょう。

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放射線検査機器

放射線を利用した検査機器には胸部エックス線検査や胃のエックス線検査などがあり、通称レントゲンと昔から呼んでいますが、これら以外の検査機器をみてみましょう。
 

CT検査

CT検査
CT検査には放射線が使われているのですが、そのことを知らない人が大半です。

医者は本来そのようなことを告げて、被爆リスクのことを患者さんにも話した上で検査しなければいけないのでしょうが、医者自身がそのリスクをよく知らないというのが実体のようです。

CT検査の被爆線量は胸部エックス線の200倍~400倍と言われています。

アメリカでは2001年に子供の被爆量に対するリスクが大きな反響を呼び、その後改良されたそうですが、日本ではあまり大きな問題として取り上げられません。

日本ではこのCT装置が年々増え続け、統計上世界の台数の約1/3が日本あるといわれています。

さらにCTの検査料が保険制度に守られている為、アメリカの1/10で済むということも、患者・医者双方から検査しやすい環境が整ってしまっています。

そのため、念のためとか、医療者側の医療訴訟の保護などの観点から、安易な検査が日常的に行われているのが実態です。

「とりあえずCT検査をしておきましょう」という言葉に注意しましょう。
 

マンモグラフィ

マンモグラフィ検査乳がんの早期発見用にと導入されたのがマンモグラフィです。

マンモグラフィも放射線を使っていることを知らない人が多いのも事実です。

乳房は放射線を浴びることによってガンを誘発しやすい組織のため、マンモグラフィを受けることによって新たな乳がんを発生するリスクがあります。

そのため若年者リスクが大きいということで自治体が行うがん検診では50歳以上の方のみに適用されていました。

しかし、なぜか急に40歳以上に引き下げられてしまったのです。

その根拠は明らかにされていません。

北欧でもマンモグラフィによる乳がん検診を行っていましたが、生命を脅かさないガンが発見されているに過ぎないかもしれない、という調査結果も出ています。

集団検診による検査によってガン死亡率が減少する根拠は、明らかではないという意見も出ています。

安易なマンモグラフィ検査は考えものです。

特に若い人は危険が大きいのでよくよく考えましょう。

わざわざガン検診にいって、ガンに罹ってしまったら、それこそ本末転倒になってしまいます。

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PET検診

PET検診PET検診とは陽電子(ポジトロン)を放出するアイソトープで、標識されたブドウ糖に似た放射性物質(FDG)を静脈注射し、その体内分布を調べるというものです。

がん細胞は正常の細胞よりも代謝が盛んなので、ブドウ糖をたくさん取り込むという性質を利用し、FDGがたくさん集まった箇所をガンと特定していくということです。

当初はがんの夢の検査などと言われたそうですが、次第にその欠点も明らかになってきています。

大きなガンでもブドウ糖の取り込みが少ない性質のものは見つからないし、逆にガンでなくても炎症やブドウ糖を多く使う臓器は、ガンがなくても陽性に出てしまうそうです。

現在ガンがある人にとっては再発や転移などを調べるのに、有効である場合もあるようですが、何の症状もない健康な人にとっては、有害無益とまで言われています。

がん検診が本当に有効とするためにはその検診によって死亡率が減少し、寿命が延びたという証拠が必要ですが、PET検診の有効性に関するエビデンスは不十分だとされています。

またPET検査では腫瘍の位置を特定しづらい為、CT検査も一緒に導入されることが一般的ですから、さらに被爆量は増えることになってしまいます。

検診のガイドラインにさえその有効性は証明されていない、といわれているにもかかわらず、PET検診をしている病院経営者は、その有効性を高めていかなければならないと主張しているようです。

機器が急速に普及した為、病院間の競争も激しくなり、受診者が減少して経営難に陥っている所もあるそうで、患者獲得競争が行われているという話もあります。

「PET検診を無料で受けませんか」などと言われたら、ちょっと考えたほうがいいかもしれません。

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脳ドック

医療検査機器MRI人間ドックという言葉がありますが、
これは日本で始められたもので日本だけで行われているものだそうです。

最近それの脳版といって脳ドックというのが流行っています。

脳ドックというのは、MRIなどを用いて行う脳の検査ということで辞書にも載っていますが、MRIだけではなくCTも盛んに使われていますので、本当は放射線の被爆リスクも考えなければいけません。

脳ドックはCT検査による被爆リスクもありますが、まずそれよりも前に動脈瘤の扱いが非常に難しいということです。

見つかった小さな動脈瘤をどうするのか、一生破裂することなく終わる場合もあれば運悪く破裂する場合もある。

実はこれがとても大きな問題なんです。

じゃあ取ってしまえと、手術をするとその手術によって障害を起こすこともある。

じゃあ手術しないかというと、知らなければ一生何事も無くいけたかもしれないのに、動脈瘤があるのが分かっていながら生きていくということは、破裂するかもしれないという恐怖と日々戦いながら、生きていかなければならないということです。

それは大変なストレスで、それだけで寿命を縮めてしまうような、人生にとっても一大事となってきます。

ちょっと頭が痛いからと、病院へ行ったらCTを撮ってみましょうということでCT検査をしたら、直接頭痛には関係ないけれども小さな動脈瘤が見つかってしまった。

知らなければ良かったのですが、知ってしまってからその人は悲惨なことになってしまった、という実話を聞いたことがあります。

ちょっと頭が痛いということで、軽い症状に対してもとりあえずCTということで、安易にCT検査が行われているのが現状です。

本当に検査の是非というものを被爆リスクだけで無く、もっと大きな意味も含めて真剣に考えなければいけない問題だと思います。

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放射線の被爆量は蓄積する

CT検査機器医療の現場では「低線量被爆は問題ない、安全です」ということがまかり通っていますが、それでは人は一生のうちにどれ位 の放射線を浴びるのでしょうか。

1回1回は少ない量でも何度も何度も浴びた場合は、その放射線のリスクは確実に体内に蓄積され、今までに浴びた総計がリスク量になっていくのだそうです。

どれ位蓄積したらどれ位のリスクがあるのかという問題ですが、現実にはこれが正しいという推定値はありません。

しかしICRP(国際放射線防護委員会)の推定値に基づいて推定すると、年に1回のCT検査(10ミリシーベルト)で1,000人に一人の割合で、ガンになる可能性があるという数値も出ています。

何かの異常が見つかって医者から毎年CT検査を受けてくださいといわれて毎年受ける人は10年で100ミリシーベルト蓄積するということになります。

この推定値に当てはめると、そのリスクが100人に一人まで上昇するということになってしまうのです。

また低線量の被爆はその時は五感で感じることが出来なくても、簡単にDNAを傷つけるといわれており、そのことが原因で数年後、数十年後にガンなどを引き起こすことがあるといわれています。

被ばく線量の多いCTはここ10年で急速に増えていますので、これからも検査を受ける人は急増していくことでしょう。

病院側では経営の問題、患者の要求、医療裁判に供えてなどの考えから、必要ではない状況でも安易にCT検査をする風潮があります。

また患者側も何とか精密検査をして安心したいという思いから、CT検査を受けたいと願うでしょう。

このようなことからCT検査はこれからも減ることはなく、さらに増えていくことが予想されます。

1回1回の線量は低くても将来的に受けていったら、それが体内に蓄積されてどんどん被爆リスクは大きくなっていくということを分かって、効果とリスクを真剣に考えて受けるようにしましょう。

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無駄な放射線被ばくを減らすには

CT検査機器
無駄な被ばくを防ぐには、まず一人一人がCT検査などの放射線の検査はプラス面の効果だけではなく、医療被ばくというリスクを抱えているということを認識することだと思います。

また1回1回の被ばく線量はわずかでも、どんどん身体に蓄積していってその総計がリスク量になっていくということを理解することが大事です。

検査の時は五感で感じられなくても、DNAを傷つけている可能性があり、数年、数十年後にガンなどを引き起こすことがあるということを、認識することだと思います。

しかしいくら患者側がこのような知識を持っていても、医者から勧められたらなかなか断れないものです。

このようなことをぜひ行政の方で行ってほしいと思います。

英国などでは、行政によって被ばくの低減対策が、現実に行われています。

患者の詳細や放射線の撮影条件、検査当たりの線量等を細かく記載したものをHPA(健康保険局)に報告し、HPAは基準となる線量を規定し、その量を超えた検査には注意を促しています。

そのようなことが功を奏して今では医療被ばくが日本の1/7にまで減少しているのです。

日本でもぜひ病院側の経営のことだけではなく、患者側に立ったこのような行政が行われてほしいと思います。

英国のガイドラインの中には一般の医者が放射線検査を行う時に、次のような確かめるべき注意事項が挙げられています。

1、 同じ検査がすでに行われていないか
2、 その検査をする必要があるのか
3、 その検査は、今する必要があるのか
4、 その検査は最良の検査方法か
5、 患者に放射線検査の問題点を説明したか
6、 検査回数が多すぎないか

日本でもこのようなガイドラインがあれば、多くの被ばくリスクを無くすことが出来るのでしょうが、まだまだ道は遠しというところです。

医業が商業と言われないように、一刻も早くこのような弱者(患者)側を向いたガイドラインを作っていただきたいと
願うばかりです。

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